大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和27(あ)2168 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人Aの負担とする。

理 由

被告人Bの弁護人竹下伝吉の上告趣意第一点について。

下級審の無罪又は有罪判決に対し、検察官が上訴を為し、有罪又はより重い刑の

判決を求めることが憲法第三九条に違反しないことは、当裁判所大法廷の判例とす

るところであつて(昭和二四年新(れ)第二二号同二五年九月二七日大法廷判決、

判例集四巻九号一八〇五頁)、論旨は採用できない。

同第二点について。

所論は、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

被告人C、同A及び同Dの弁護人河村泰三及び同徳田敬二郎の上告趣意一、につ

いて。

所論は、判例違反を主張するけれども、原審で控訴趣意として主張判断のなかつ

た第一審判決の訴訟法違反を主張するものであつて、適法な上告理由といえないば

かりでなく、差戻後の第一審第一回公判調書によると、被告人及び弁護人等は、同

公判で所論上申書を証拠とすることに同意したものと認められるので、所論判例違

反の主張は、既に、その前提において失当である。

同二、について。

所論は、判例違反をいうけれども、原審で控訴趣意として主張判断のなかつた事

項に関し、本件で毫も認定されていない事実を前提とする主張であるから、採用す

ることができない。

被告人C、同A及び同Dの弁護人河野泰三の上告趣意第一点について。

所論は、憲法違反をいうけれども、被告人等の検察官に対する各供述が検察官の

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強制に基ずく自白であると認むべき証拠はなく、却つて、差戻後の第一審第一回公

判調書によると、被告人及び弁護人等は、同公判で所論各供述調書を証拠とするこ

とに同意したことが認められるので、所論違憲の主張はその前提たる事実を欠くも

のとして、採用することができない。その余の論旨は、事実誤認の主張であつて、

刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第二点について。

しかし、憲法第三七条第二項は、裁判所に被告人の申請する総べての証人を取調

べる義務を負わしめたものではなく、裁判所がその必要を認めて尋問を許した証人

についての規定であることは、既に当裁判所大法廷の判例の趣旨とするところであ

るから(昭和二三年(れ)第八八号同二三年六月二三日大法廷判決、判例集二巻七

号、七三四頁)、所論憲法第三七条第二項違反の主張は理由がない。そして記録に

よれば、差戻前の第一審公判においても、裁判所が、さきに検察官の申請により採

用の決定をした所論証人Eの尋問を取消し、これが申請を却下した際、被告人及び

弁護人等は、これに対し何等異議を述べていないばかりでなく、差戻後の第一審公

判においては、右Eの上申書を証拠とすることに同意したことが認められるから、

差戻後の第一審判決がこの上申書を証拠としたことに何の違法もない。

同第三点について。

しかし、憲法第三七条第一項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」とは組織と構成

において偏頗の惧れなき裁判所の裁判という意味であり(昭和二二年(れ)第一七

一号同二三年五月五日大法廷判決、判例集二巻五号四四七頁)、又、仮りに裁判が

迅速を欠いたとしても、それは判決に影響を及ぼさないものとして、原判決破棄の

理由とならないものである(昭和二三年(れ)⑳第一〇七一号同年一二月二二日大

法廷判決、判例集二巻一四号一八五三頁)ことは、いずれも、当裁判所大法廷の判

例に示されているとおりであるから、論旨は採ることができない。

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被告人Aの弁護人大橋弘利の上告趣意について。

所論は、量刑非難を出でないものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

なお、記録を調べても、本件につき、同四一一条を適用すべき事由ありとは認め

られない。

よつて、同四〇八条一八一条に則り、裁判官全員一致の意見で主文のように判決

する。

昭和二八年七月三一日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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